富士ヒルクライム前の1ヶ月で、パワーウェイトレシオ(PWR)は3.52倍から3.93倍まで伸びました。
決め手になったのは「オーバーアンダートレーニング」。
このトレーニングをきっかけに「わずか3日間でペース配分が一変した」ことが、私にとって一番の発見でした。
今回はその経験と、来年へ向けて取り組んでいるインターバルトレーニングのひとつ「40/20トレーニング」、そのトレーニング管理のために自作した無料アプリの話をまとめます。
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富士ヒル前の「オーバーアンダートレーニング」で体感した変化
富士ヒルクライム2026本番に向けて、私は4/23に初めてFTPテストを行いました。
結果はFTP210W(体重59.6kg時点)。ここからSST中心のトレーニングと、富士ヒルの試走を重ねていきました。
※注:ここから度々出てくる「NP」はノーマライズドパワー(正規化パワー)の略です。
上り坂やスプリントなど出力が上下する実走では、単純な平均パワーだと体への負担を正しく表せません。
NPはその変動を加味して、実際の身体的な負荷に近づけた数値です。出力の変動が大きいほど、NPは平均パワーより高くなる傾向があります。
試走のたびに悩んでいたのが、終盤のパワーダウンでした。
5/6の試走ではNP191W(FTP比90%)、5/16の試走ではNP183W(FTP比87%)と、後半にかけてペースが落ちる展開が続いていました。
転機は5/19。
「後半のパワー低下を防ぎたい」という目的で、オーバーアンダートレーニング(以下OUトレーニング)を導入しました。
5/19・20・21と、3日間続けてOUトレーニングを行いました。
そして迎えた5/22。
3本ローラーで本番を想定した90分走を行ったところ、OUトレーニングで身についたペース配分がそのまま出て、それまで一度も出せなかった理想的なネガティブスプリット(終盤にかけてパワーを上げていく走り方)を実現できました。
- 平均パワー197W、NP198W(FTP比94%)、ケイデンス平均89rpm
- 序盤(0〜27分)191W → 中盤(27〜60分)194W → 終盤(60〜91分)206W
その後も練習を続け、5/28にFTPを再計測したところ、210W→224Wに更新(+14W)。
そして6/7、富士ヒルクライム2026本番。
結果は1時間24分28秒でブロンズ達成。
平均パワー190W、NP198W(FTP比90%)、平均心拍169bpm・最大心拍186bpmでした。


ここで気づいたのが、5/22に3本ローラーで出したNPと、本番のNPが、どちらも198Wだったということです。
室内トレーニングと実際の登坂で、パワーの差はありませんでした。
よく富士ヒルは高地で行うため、平地から10%程度はパワーダウンする、と言われていますが私はあまり関係がないようでした。
体重の変化を踏まえてパワーウェイトレシオ(PWR)を計算すると:
- 4/23時点:FTP210W ÷ 体重59.6kg=体重の約3.52倍
- 5/28時点:FTP224W ÷ 体重57.0kg=体重の約3.93倍
(パワーウェイトレシオ=体重1kgあたり何wを出せるかを表す指標ですが、ヒルクライム界隈では「体重の◯倍」という言い方がよく使われるので、本記事でもこの表現を使います)
1ヶ月で、体重の3.62倍から3.93倍まで伸びたことになります。
このときの具体的なメニューや数値の推移は、本番のレースレポートに詳しく書いています。
この記事では、その経験から気づいたことを掘り下げます。

FTPを上げたくて調べていたら「パワーウェイトレシオ」の話だった件
正直に言うと、私は最初「FTP 上げ方」で検索していました。
FTPを上げれば速くなる、そう思っていたからです。
でも調べていくうちに気づきました。
ヒルクライムのタイムを決めているのは、FTP単体ではなくパワーウェイトレシオ(PWR、W/kg)だと。
FTPは「絶対的な出力(W)」、PWRは「体重で割った相対値(W/kg)」。同じFTPでも、体重が軽ければPWRは上がります。
FTPとPWRを混同していたのは、たぶん私だけではないと思います。
整理すると、PWRを上げる方法は大きく3つに分かれます。
- FTPそのものを上げる
- 体重を落とす(私は3.2kgの減量にも取り組み、W/kg全体の伸び+0.45のうち約半分はこちらの寄与でした。)
- 同じ身体でより効率よく踏めるようになる(この記事のテーマ)
それぞれの詳しい記録は記事の最後にまとめてリンクしています。
ここでは3番目、「トレーニングで乗り方を磨く」話を続けます。
なぜパワーウェイトレシオが上がったのか
ここからは私個人の考えです。
医学的・スポーツ科学的に実証されたことではなく、あくまで一つの解釈として読んでください。
4/23から約1ヶ月、SSTなどでベースを作ってきたのは事実です。
この期間で心肺機能や筋力そのものが伸びていた可能性は十分にあります。
ただ、私が注目したいのは5/22の「ネガティブスプリット」です。
OUトレーニングを始めたのは5/19。5/22の90分走までは、わずか3日しか経っていません。
3日間で心肺機能や筋力そのものが劇的に向上するとは考えにくいはずです。
それなのに、それまで一度も出せなかったネガティブスプリットが、OUトレーニングを3日間行っただけで出せるようになりました。
これは身体機能の変化というより、OUトレーニングで身についた「ペース配分の感覚」がそのまま反映された結果だと考えています。
OUトレーニングはFTP前後の強度を行き来するメニューなので、「今どのくらいのペースで踏んでいるか」を体に覚え込ませる効果があるのではないか、というのが私の理解です。
もちろん、「たまたま調子が良かっただけでは」という見方もできると思います。
ただ、本番でも同じNP198Wを記録できたことを考えると、あの日だけの偶然ではなく、身についたペーシング技術だったと考えています。
トレーニングの成果はFTPの数字だけで語られがちですが、私の場合は「ペーシング技術」という、数字に表れにくい部分の変化が大きかったと感じています。
今取り組んでいる「40/20トレーニング」とは
富士ヒル本番が終わった後、来年のシルバー獲得を目標に、新しく取り組み始めたのが40/20トレーニングです。
40秒間しっかり踏んで、20秒レスト。これを1本として、設定した本数を繰り返します。
- 週1回のペース
- 友人宅のWahooスマートトレーナーを借りて、友人と二人で実施(室内)
- 本数は少しずつ増やしていて、最初は8本×2セット→10本×2セット→現在は12本×2セット
- 本番後、7/9にFTPを測り直したところ、現在のFTPは221Wでした(ペース配分がうまくいかず、本番直前の224Wよりやや下がりました)
- 目標パワーはFTP基準で設定:ワーク中はFTP×約120%、レスト中はFTP×約60%。現在のFTP221Wを基準に、ワーク約265W・レスト約133Wを目安にしています
無料のインターバルトレーニング用アプリが見当たらなかった話
40/20トレーニングを続けるうちに、困ったことが出てきました。
本数が増えてくると、「あれ、今の何本目だっけ」と1本多く数えたり、1本少なく終えてしまったりするようになったのです。
40秒本気で踏んでいると、正直かなりきつくて、頭が回らなくなります。
数えている余裕がなくなるんです。
一方でオーバーアンダートレーニングは、40/20ほどきつくはないのですが、今度は時間のスパンが長めなので、うっかり時間を忘れて長く踏みすぎてしまうことがありました。
きつさの種類は違っても、原因は同じでした。トレーニングを正確に、定量的にこなすための管理が、自分の頭の中だけでは限界だったということです。
既存のインターバルタイマーアプリも試しましたが、無料版は使える時間に制限があったり、広告が頻繁に表示されてトレーニングに集中できなかったりして、実用に耐えるものが見つかりませんでした。
だから自作した「インターバルトレーナー」
見当たらないなら作ろう、ということで、自分用にシンプルなWebアプリを作りました。
- 40秒・20秒など、秒数を自由に設定できる
- 本数・セット数を設定して、自動でカウント
- レスト時間を設定して、経過したら次のセットへ
- ワーク/レスト/セット間レストで音を変えているので、画面を見なくても今どのフェーズか分かる
- 5秒前からのカウントダウン音つき
実際に使ってみると、本数を数え間違えることがほとんどなくなり、うっかり時間オーバーすることもなくなりました。
管理をアプリに任せられるようになった分、踏むことだけに集中できるようになったのは大きかったです。


このアプリは無料で公開しています。
ブラウザで開くだけで使えるので、よければ試してみてください。
よくある質問
Q. インターバルトレーニングの頻度はどれくらいがいい?
私は週1回のペースで行っています。強度が高いメニューなので、毎日ではなく、回復を挟みながら続けるのがおすすめです。
Q. 初心者は何本×何セットから始めればいい?
私自身、最初は8本×2セットから始めました。きつければ本数を減らし、余裕が出てきたら少しずつ増やしていくのがおすすめです。
Q. オーバーアンダートレーニングと40/20トレーニングの違いは?
オーバーアンダーはFTP前後を行ったり来たりする、比較的長めのスパンのメニューです。私の場合はペース配分の感覚を養うのに効果を感じました。
40/20はより短い時間で強度を上げ下げする反復メニューで、私の中では「頭を使う忙しさ」が違うと感じています。
オーバーアンダートレーニングの詳しいプロトコルは、本番のレースレポートにまとめています。
Q. パワーメーターがないとできない?
なくてもできます。心拍計や体感でも代用できますが、あればより正確に強度を管理できます。
パワーメーター選びについてはサイコン比較記事でも触れています。
Q. FTPを上げればパワーウェイトレシオも上がる?
上がります。ただし、体重を落としてもPWRは上がります。
どちらか一方ではなく、私は「オーバーアンダートレーニングでFTPを上げる」「減量でPWRを上げる」「日々のトレーニングで乗り方を磨いてPWRを上げる」の3つを並行してやってきました。
まとめ
- オーバーアンダートレーニングを始めて3日目に、それまで出せなかったネガティブスプリットを実現(NP198W、本番と同じ値)
- 1ヶ月でパワーウェイトレシオが体重の3.62倍→3.93倍に伸びた
- わずか3日間という短さから、身体機能そのものというよりペーシング技術が良くなった可能性があると考えている(あくまで個人の見解)
- 富士ヒル後は来年のシルバーに向けて40/20トレーニングに取り組み中
- 本数管理・時間管理の限界から、無料のインターバルトレーニング用アプリを自作した
- 実際に使ってみて、数え間違い・時間オーバーがなくなった
パワーウェイトレシオを上げた3つの記録



ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


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