ロードバイクのチェーンメンテナンス|オイル選び・交換タイミング・自分で交換する方法【9年の実体験】

チェーンの手入れには、「拭き取りは必ず行う」「交換の目安は3,000〜6,000km、毎日使うなら1年程度」といった、よく言われる“べき論”があります。
ただ、9年間ロードバイクで通勤・遠征をしてきた実体験としては、注油量を絞れば拭き取りはほぼ不要になり、交換もショップ推奨の半年より緩いペースで支障が出ていません(レースのようにシビアな環境ではなく、通勤・週末ライドという前提での話です)。

オイル選び・注油量・交換のタイミングについて、実際にやってきたことをまとめます。

この記事は約 12分 で読めます。

目次

チェーンオイルの適正量とは|差しすぎを防ぐ注油のコツ

2年ほど前までは、チェーンの1コマ1コマにオイルを差す一般的なやり方をしていました。
この方法だと、雨が多い時期は3ヶ月ほどでボトル1本を使い切るくらいの消費ペースでした。

この頃は費用対効果を考えると、高いハイエンドルブを試す勇気がありませんでした。
3ヶ月で1本使い切るペースだと、高いオイルはすぐに家計を圧迫します。

この状況を変えたのが、元ビチアモの川チュンさんが紹介していた「Twelve by Twelve法」という注油方法です。チェーンの12ヶ所に注油し、クランクを12回転させてなじませる、というやり方で、拭き上げがほぼ不要になるくらいの適量で済みます。

この方法に変えてから、消費量が目に見えて減りました。

1年前に買ったマックオフのハイエンドルブが、今もまだ使い切れていません。
3ヶ月で1本だったのが、1年以上持つようになった計算です。

「1回あたりの量が減るなら、高いオイルにしても大した出費にならない」
そう思えたことが、ハイエンドルブに手を伸ばすきっかけになりました。

通勤車とサブ車体で使い分けているオイル

使い分けの基準は、置かれる環境の違いです。
通勤車は街中に長時間停めることが多く、傷や汚れがつきやすい環境にあります。一方、サブ車体(遠征・取材用)は基本的に長時間駐輪することがありません。

通勤車サブ車体(遠征・取材用)
オイルAZ BIcS-004(セミウェット)マックオフ LUDICROUS AF LUBE
価格の目安600円9,000〜10,000円
使う理由気兼ねなく使える、静粛性・耐水性が価格の割に高いパワーロスが少なく、耐久性、耐水性が非常に高い。(1600km潤滑性能維持)

通勤車:AZ BIcS-004

通勤車には、AZのBIcS-004(ロードレースSP)をメインで使っています。
価格の割にチェーンの静粛性や耐水性が高く、気兼ねなく使えるので重宝しています。

ただし、雨の中を走行すると、翌日にはチェーンがややキシキシ鳴り、オイル切れのような感覚になることがあります。錆が出るほど落ちているわけでもないので、耐水性もそれなりにあります。

それでも困らないのは、安いチェーンルブのため気兼ねなく雨の日に乗った翌日には注油する、という運用でカバーできるからです。

サブ車体(遠征・取材用):マックオフ LUDICROUS AF LUBE

サブ車体には、マックオフのハイエンドチェーンルブ「LUDICROUS AF LUBE」を使っています。
AZ BIcS-004と比べて、耐水性が非常に高いと感じています。雨の中を走行したあと忘れてそのまま放置しても、翌週もオイル切れ症状や錆などもなく普通に走れたときは感動しました。

AZのチェーンルブと比較して、汚れがつきにくいような気がしています。

遠征やイベントは、雨でも、長距離でも当日はトラブルなく走り切ってもらう必要があります。
“絶対に不調にしたくない日”だからこそ、価格よりも信頼性を優先しています。

試してやめたオイル:AZ B1-003(クリーン)

同じAZのドライタイプ「B1-003(クリーン)」も、チェーンが汚れにくいと聞いて試したことがあります。
商品説明にも”晴れの日専用”とあるように、雨の日に走行したところ完全に流れてしまったのか、翌日にはチェーンに錆が浮いてしまいました。

私の使用スタイルには合わなかったのでそれ以来、使うのはやめています。
ただし、雨天走行をしないというひとにはチェーンも汚れにくいようなので、もしかしたらいいのかもしれません。

チェーン交換の判断基準

チェーンは使っているうちに「伸び」ます。
正確には、チェーンのピンやローラーがすり減ることで、チェーン全体の長さが少しずつ伸びていきます。
※伸びが進むと、スプロケットやチェーンリングとの噛み合わせがずれ、チェーン落ちや変速不良の原因になります。

私はチェーンチェッカー(伸びを測る工具)は持っていません。

チェーン落ちや変速の調子が悪くなってきたタイミングで、ショップの車体チェックのついでに伸びを確認してもらっています。交換自体は自分で行います。

ショップからは「半年に1回」のペースを勧められますが、実際には通勤車で1〜2年に1回のペースでも、今のところ支障は出ていません。

ショップの「半年に1回」を距離に当てはめると、通勤だけで月280〜300km走る私の場合、半年で1,500km前後です。シマノなどから出ている一般的な交換目安(3,000〜6,000km)よりもかなり早いペースです。そのため、私は1〜2年、つまり3,000km台後半〜7,000km前後くらいを目安に交換しています。

レースのように頻繁に変速する、1分1秒を争うような場面がないなら、長い方の2年に1回というペースを目安にしても問題ないというのが私の実感です。

拭き上げが甘くて服を汚した話

通勤を始めた最初の1年ほどは、注油のたびにスラックスの裾にオイルが飛んでいました。
汚れた部分だけ中性洗剤で洗い、シャツに飛んで落ちない場合はクリーニングに出す、という手間がかかっていました。

それ以降は拭き上げを徹底することで防いでいましたが、それでも拭き上げが甘いと、2ヶ月に1回くらいは油はねしていました。
Twelve by Twelve法に変えてからは、そもそも拭き上げがほぼ不要な量しか差さないので、この悩みからも解放されました。

汚れ対策についてはスーツ通勤の汚れ対策の記事でも紹介しているので、そちらもご覧ください。

チェーン洗浄の手順

9年間の間に、中性洗剤・マイペット・キッチン用の油汚れ用洗剤など、いろいろなものを試しました。

しかし市販の洗剤は油を落としすぎてしまうためか、洗浄後に乾燥のため放置するとすぐに錆が出てしまいました。結局、防錆剤の入った専用のチェーンディグリーザーに落ち着きました。乾燥中にしばらく放置してしまっても錆びないので、神経質にならなくて済みます。

使っているのはAZのA1-008です。安く、量が入っているのでたくさん使っても経済的です。
たっぷり使うと汚れが良く落ちます。

手順はシンプルです。

  1. チェーンに満遍なくディグリーザーを吹き付ける
  2. 5分ほど放置する
    ※この際にホイールのリムにディグリーザーがつくので、そこだけは先に拭くか流すかしてください。
     リムに洗剤シミが付く可能性が高いです。
  3. 水で流す(コマの中の古いオイルもしっかり落ちる)
  4. 3〜4回繰り返す

大体10分〜15分程度です。

洗浄前と洗浄後の状態はこんな感じです。洗車から1ヶ月くらいでこのくらいの汚れ方です。

洗浄前
洗浄前

洗浄前はスプロケのよく使う端数の部分、チェーンには黒く汚れが付着しています。
ここにディグリーザーを吹きかけて、内部に浸透するまで5分程度待ちます。その後、ブラシで擦り洗いをしてよく流します。

1回目洗浄後
1回目洗浄後

スプロケの汚れは1回でほぼ落ちています。チェーンについては8割程度、というところでしょうか。まだコマとプレートの隙間などには汚れが残っているのが見えます。

2回目洗浄後
2回目洗浄後

2回目の時点でほぼすべての汚れが落ちているように見えます。

触って確認すると、このように少しだけ手に汚れがつきます。インナープレートの内側にまだ少し汚れが残っていそうです。ただし、時間がないときなどはこのくらいで洗浄完了にすることも多いです。

このあと3回目の洗浄を行います。

チェーンの間の汚れを落とすために、ブラシを隙間に差し込んで洗浄します。

3回目洗浄後

スプロケの汚れは完全に落ちました。こうやって洗浄するとスプロケが削れている箇所がよくわかりますね。

3回目洗浄後
汚れの残り具合を指でチェック

インナープレートの内側にまだやや汚れは見えますが、手で触っても手に汚れがつかないので良しとします。
洗浄後は10回転くらい逆にクランクを回し、軽く水を飛ばします。そして乾燥のために放置。

乾燥完了
乾燥完了

1時間程度放置してしまいましたが、錆は浮いておらず、しっかり乾燥もできています。
新品同様、とまではいきませんがかなり綺麗になりました。

この状態になったらTwelve by Twelve法で注油していきます。

なお使っているブラシは「お風呂の目地用ブラシ」です。

ハード毛とソフト毛があり、1回目はハード側でざっくり落とし、2回目以降はソフト毛でしっかり汚れを落とします。

これはホームセンターで1000円くらいで買ったものですが、アマゾンのもっと安いもの(リンクのものは400円弱)でも大丈夫です。
100均のものでも洗浄力自体は大丈夫でしたが、ブラシの毛がすぐダメになるので、買い替えの手間を考えると微妙でした。

チェーン交換は自分で行っています

チェーン交換も、ショップに頼らず自分でやっています。
最近では、妻のミニベロ(シマノALTUS 8速)のチェーン交換をしました。

この車体はミッシングリンク非対応のタイプで、従来型のピン圧入式です。

自分のメイン車・サブ車は、どちらもミッシングリンク(クイックリンク)対応のチェーンを使っています。
同じ「チェーン交換」でも、車種によって必要な工具が変わります。

使っている工具

チェーンを切る(コマ数を合わせる)ときは、PWTのチェーンカッター「CT-03R」を使っています。
値段の割に精度がいいのか、チェーンを切る時(ピンを抜き時)も繋ぐ時(圧入する時)もそこまで力がいらずスムーズです。

ミッシングリンクを外すときは、BIKE HANDのマスターリンクツールを使っています。
チェーンの徹底洗浄のときはチェーンを外したほうがやりやすいのと、交換のときはミッシングリンクが楽なのと、アルテグラグレードは最初からミッシングリンク付きのものが選べるので、そちらを推奨します。

具体的な交換手順(妻のミニベロを例に)

先日、妻のミニベロ(シマノALTUS 8速・ミッシングリンク非対応)のチェーンを交換したので、そのときの手順で説明します。

①古いチェーンを、チェーンカッターで切って外す

大体5年くらい使用。さびさびですね。

②新しいチェーンの長さを合わせる。コマ数を数えるのではなく、チェーンをフロントをアウター、リアをインナー側にした状態で、リアディレーラーの角度を見ながら適切な長さを判断する。
チェーンには裏表があるので間違えないようにする。基本的には刻印があるほうが表(見える側)になる。
なお、このとき知りましたが8速のチェーンには表裏がないようでした。両面に同じように刻印が入っていました。

大体このくらい。不安ならもう少し長めでも。

③2で決めた長さに合わせて、チェーンカッターで切る

両端がインナープレートとアウタープレートになるようにする

④ピン圧入式なので、チェーンカッターでピンを押し込んで接続する

⑤一通り空転させながら変速して、問題がないか確認したら完了

自分のメイン車・サブ車(ミッシングリンク対応)の場合は、④の接続部分だけが変わります。ピンを圧入する代わりに、マスターリンクツールでミッシングリンクをカチッとはめ込むだけなので、こちらの方が手早く済みます。

最初は1時間以上、今は15分

ここからは、11速・12速を使っているメイン車・サブ車での経験です。
初めてチェーン交換をしたときは、切り方やどこで切るか、長さはどうするかを調べながら作業したので、1時間以上かかりました。
今は同じ作業が15分程度でできるようになっています。

ここに至るまでには、いくつか失敗もしています。

  • 切る長さを間違えた:内プレート、外プレートというのをわかっておらず、想定した長さより短く切ってしまい、変速がしづらくなりました。自分では気づかず、ショップに変速の相談をしに行ったときに発覚しました。
  • チェーンの裏表を逆に装着した:11速・12速用のチェーンには表裏があります。日常使いでは特に異常を感じませんでしたが、これもショップで見てもらったときに発覚しました。
  • 作業中に手が滑ってチェーンを離してしまった:チェーンが勢いよく暴れて、周囲にオイルや汚れが飛び散りました。

外プレート・内プレートの区別とチェーンの向き(裏表)は、慣れないうちは特に間違えやすいポイントだと感じています。変速に違和感があるときは、自分の交換作業を疑ってショップに相談するのも一つの手です。

チェーンのグレードはアルテグラを選んでいます

交換用のチェーンは、メイン車・サブ車どちらもアルテグラグレードを使っています。
アルテグラのチェーンはSIL-TEC加工がアウタープレートまで施されていて耐久性が高いとされていますが、正直なところ走行時の体感では違いがよく分かりません。

ただし、105グレードのチェーンの方が錆びやすいという体感はあります。105とアルテグラの価格差は数百円程度なので、その差なら気にせずアルテグラを選ぶようにしています。

また11速用、12速用でチェーンが違うため、購入の際は要注意です。

【11速用】

【12速用】※12速用はロードコンポとMTBコンポ共用になっています。()の中がMTBのグレード。

よくある質問

Q. 注油の頻度はどのくらいが目安ですか?

私は月1回を基本にしています。雨の日が多い月は2〜3回になることもあります。雨の日に乗った翌日は、量に関わらず注油するのがおすすめです。

Q. チェーン洗浄と注油、どちらが大事ですか?

どちらも大事ですが、毎回両方できなくても問題ありません。時間があるときは洗浄してから注油、ないときは注油だけで済ませています。洗浄の手順は「チェーン洗浄の手順」で紹介した通りです。

Q. Twelve by Twelve法にすれば、拭き取りは本当に不要ですか?

ほぼ不要になりますが、完全にゼロではありません。差した直後にチェーン表面に軽く残る分だけ、さっと拭う程度で十分です。以前のように「しっかり拭かないと飛び散る」というプレッシャーがなくなるのが一番の変化です。

注油直後の状態。
うっすら手にオイルはつく程度。この状態なら拭き取らなくても飛び散りません。

まとめ

1コマずつ注油していた頃は、3ヶ月でボトル1本を使い切り、高いオイルを試す余裕もありませんでした。
Twelve by Twelve法に変えてからは、1年前に買ったボトルがまだ残っているほど消費が減り、その分だけ通勤車とサブ車体でオイルを使い分ける余裕も生まれました。

注油量を絞ることは、手間を減らすだけでなく、オイル選びの選択肢そのものを広げてくれました。
チェーン交換も、最初は1時間以上・失敗つきでしたが、外プレート・内プレートの区別と裏表さえ間違えなければ、今では15分程度でできる作業です。「拭き取りは必ず」「半年に1回」という”べき論”通りにしなくても、9年間困ったことはありません。オイル選びも交換も、知っていれば怖くないというのが実感です。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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