ロードバイク通勤を始めるとき、「ビンディングペダルは使うべきか」と悩む人は多いはずです。
私も長年フラットペダルで通勤していました。
一度は挑戦して怖くなってやめ、それでもまた再挑戦した。
その理由と、実際に通勤でビンディングを使い続けて気づいたことを正直に書きます。
ペダル遍歴・シューズ選びの失敗談・通勤で安全に始める方法まで、10年のロードバイク生活から得た実体験をまとめました。
この記事は約 12分 で読めます。
結論:通勤ビンディングは必須ではないが、慣れると快適
先に結論から言います。
ロードバイク通勤にビンディングペダルは「必須」ではありません。
フラットペダルのまま何年も通勤している人は大勢います。
私自身、途中でビンディングをやめた時期がありましたし、やめていたときも不便は感じませんでした。
ただ、慣れてしまえば快適です。
足がペダルに固定されることで踏み込む力が効率よく伝わり、同じ体力でも少し速く走れます。
フォームも安定する。富士ヒルクライムに出場することを決めてから本格的に使い始めたのですが、今では通勤でも欠かせない存在になっています。
「怖い」「難しそう」というイメージが先行しがちですが、選ぶペダルと始め方さえ間違えなければ、通勤ライダーでも十分に使いこなせます。この記事ではその具体的な方法を解説します。
私のペダル遍歴(フラット→挫折→復活)
まず私のペダル歴を整理します。
挫折と復活を繰り返した経緯を知っておくと、このあとの話がより具体的に伝わると思います。
通勤開始〜約3年間:趣味も通勤もフラットペダル一択
ロードバイク通勤を始めたばかりのころは、趣味でも通勤でもフラットペダルを使っていました。
革靴のまま乗れる気軽さ、足を外す動作が不要な安心感、どちらも通勤には大切な要素です。
当時は「ビンディングは競技志向の人が使うもの」くらいの認識で、必要性を感じていませんでした。
趣味ライドだけビンディング導入→失敗
周囲の影響でビンディングペダルに挑戦しました。最初に選んだのはシマノのSPD-SL。
クリートをはめる感覚はすぐに慣れましたが、問題は「外す」動作でした。
信号待ちで慌てて外そうとしたとき、何度かそのまま立ちゴケ。
速度ゼロからの転倒なので大きなケガはありませんでしたが、交差点のど真ん中で倒れた瞬間の恥ずかしさと恐怖は、今でも鮮明に覚えています。その後も2〜3回の立ちゴケを経験し、「また転ぶかもしれない」という不安が常に頭の片隅にある状態になりました。
さらに追い打ちをかけたのが膝の痛みです。
SPD-SLを使い始めてから、ビンディングを外すときに右膝の外側に鋭い痛みが走るようになりました。
痛みの出た箇所は膝蓋骨の外側下方、症状からすると膝関節の外側側副靭帯、腸脛靭帯への繰り返しの負荷が疑われました。
ビンディングリリース動作の解剖学的に分析にしてみると
- 足が固定された状態で、踵を外に払う動作を行うと強制的なニーインが起きる
- 相対的に足部外旋+膝内旋状態になる
- 結果として膝関節に回旋による牽引ストレスが集中
クリートの固定力調整を試みましたが、痛みは完全には解消できず、ビンディングを使うのをやめる判断をしました。

通勤=フラットペダル、趣味=フラットペダル
ビンディングをやめてからは、通勤も趣味ライドもすべてフラットペダルに戻しました。
「楽に速く走ることを特に求めていない」「怪我だけは避けたい」という気持ちが強く、それ以上こだわる理由がなかったのです。フラットペダルで革靴のまま走る通勤スタイルは、それはそれで完成されていました。
ちなみにこのときに使用していたのはミカシマ オールウェイズペダル。
踏み面が広く、回転がかなり軽いためいまでも大好きなペダルです。

4年前:ミカシマUS-Lで通勤ビンディング再開
あるきっかけで再びビンディングに挑戦。趣味ライドから始めて、昨年9月からは通勤でもビンディングを使い始めました。詳しくは次の章で説明します。
通勤でビンディングをやめた理由(立ちゴケ・膝痛)
やめた理由を改めて整理すると、大きく2つです。
①立ちゴケが怖かった
最初に立ちゴケをしたのは、信号で止まるタイミングでした。
止まる時にビンディングを外し忘れていて、なかなか外れずバランスを崩してそのまま倒れました。
速度ゼロからの転倒なのでケガはありませんでしたが、倒れた瞬間はパニックでした。
その後も2〜3回、信号停止時やゆっくり走行時のグレーチング溝にハマって立ちゴケを経験しました。
いずれも大きなケガはなかったものの、恐怖心はぬぐえませんでした。
「また転ぶかもしれない」という不安が常に通勤中に頭を占領し、走ること自体が楽しくなかったのです。
通勤は怪我をしてはいけません。怪我をすれば仕事に支障が出る。
趣味ライドの楽しみも失われる。そう考えると、ビンディングの恩恵よりもリスクが大きく感じられました。
②SPD-SLで膝に痛みが出た
SPD-SLを使っていた時期、外す時の動きで右膝外側へ鋭い痛みが走るようになりました。
鍼灸師として患者さんにも伝えていることですが、「足が固定された状態で膝が内外に逃げる」と膝に負担がかかります。
市街地だと信号も多く、クリートを外す動作が何回もあります。
そのときに正しく外す動作ができていないと膝に負担が溜まっていきます。
これはクリートを外す動作に限らず、ペダリング(特に踏み足)でも当てはまります。
踏み込むときに膝が内外に逃げていると、痛みが出ることが多いです。
関節の頑丈さは人によって違いますが、もしペダリングで痛みが出ている人は「自分のペダリングで膝が逃げていないか」を確認するとよいかもしれません。
クリートの固定力調整を試みましたが、完全には解消できず、最終的にビンディング自体をやめる判断をしました。痛みが出たときに早めにやめる判断は、結果的に正しかったと思っています。
それでもビンディングを再開した理由
ビンディングを再開したきっかけは、友人でした。
友人が、4年ほど前ロードバイクを本格的に始めました。
ビンディングを使い始めたばかりの彼との直線での差が、みるみる開いていきました。「置いていかれる」のが悔しかった。ただそれだけの感情が、再挑戦の最初のきっかけです。
ミカシマ(MKS)US-Lとの出会い
もう一度ビンディングを試したいが、また立ちゴケや膝痛が出るのは嫌だ。
そんなとき見つけたのが、ミカシマ(MKS)のUS-Lです。

US-Lは分割式ビンディングペダルです。ペダルの片面にLOOK KEO互換のビンディング機構がついています。
分割式の名の通り、ロック機構部分が半分に分割されています。
そのため、外す時の力が通常のペダルの1/2で良いという画期的な機構でした。
さらに、流石のミカシマペダル。回転そのものがかなりスムーズでとても気に入りました。
これに変えてからは咄嗟のときも外しやすく、外す時に力を使わないので膝に痛みが出ることもありませんでした。これにより立ちゴケへの恐怖が大幅に軽減され、1年ほど快適に使い続けることができました。
ミカシマからLOOKへの乗り換え
1年ほど使ったところで、US-Lのロック部分から「カチカチ」と異音が発生するようになりました。
構造的に複雑な分、耐久性は通常のものよりも劣るのかもしれません。
また、純正クリートが柔らかく削れやすい点も気になっていました。
ちょうどそのタイミングでLOOKのKEO CLASSIC 3ペダルがセール中だったということもあり、「ビンディングに慣れたし、次は本格的なペダルにしよう」と乗り換えました。現在も使い続けています。

通勤でもビンディングを使い始めた理由
趣味ライドでビンディングに慣れてきたころ、富士ヒルクライムへの出場を決めました。
レースでビンディングを使うなら、日常的に使い慣れておかなければ本番で力が発揮できない。
そう考えて、昨年9月から通勤でもビンディングを使い始めました。
フラットペダルとビンディングペダルではペダリングそのものが変わります。
通勤をトレーニングにして、「ビンディングペダルのペダリング」の練習を重ねました。
革靴は職場に常備して、行き帰りともビンディングシューズで走るスタイルに変えました。このスタイルが今も続いています。
通勤ビンディングを安全に始める3つのコツ
実体験から得た、通勤でビンディングを安全に始めるコツを3つ紹介します。
①固定力の弱いペダルから始める
最初からレースに使用されるようなガチガチのペダルを使う必要はありません。
- シマノSPD-SLなら黄色が最も固定力が弱い
- Look KEOシリーズやTIMEペダルはシマノよりも固定力の調整幅が広い(=固定力を弱くできる)
- ミカシマ分割式ペダルUS-Lのような外す力が少なくていいものを選ぶ。
慣れないうちは固定力の弱さが立ちゴケ防止に大きく役立ちます。
「咄嗟の時にすぐ外せる」という安心感は、心理的な余裕を生み出します。
②革靴は職場に置いておく
ビンディングシューズで通勤する場合、仕事用の革靴をどうするかが問題になります。
毎日持ち運ぶのは荷物が増えて走りにくい。
私が辿り着いた答えは、革靴を職場に常備することです。
行きも帰りもビンディングシューズで走り、職場で革靴に履き替える。
1〜2足を職場に置いておき、ローテーションすることで靴の傷みも防げます。
荷物が軽くなると走りに集中できます。通勤時の荷物の工夫については以下の記事も参考にしてください。

③慣れるまで交差点では早めに外しておく
立ちゴケが起きやすいのは、「外そうとして外せなかった」瞬間です。
交差点が近づいてから慌てて外そうとすると、タイミングを逃します。
慣れないうちは、交差点が見えたら早めにクリートを外して待機する習慣をつけましょう。
「まだ大丈夫かも」と思って外さずにいると、それが立ちゴケを招きます。
「早めに、余裕を持って外す」。これだけを意識するだけで、立ちゴケのリスクは大幅に下がります。
シューズの選び方(試着が全て)
ビンディングシューズ選びで最も重要なことは、試着です。これに尽きます。
Fizikを選んだ理由
私はシューズ選びの際、サイクルモードやワイズロードの店舗で、複数のブランドを試着して回りました。
シマノ・スペシャライズド・Fizikなど複数ブランドを比較した中で、Fizikのフィット感が最も自分の足に合っていると感じました。
ロードシューズは、普段のスニーカーとはまったく構造が違います。足全体をしっかり包み込む設計で、少しのサイズ差や幅の違いが、長時間の走行で大きな快適性の差になります。
「なんとなく合いそう」では足りません。「しっくりくる」までいろんな靴の試着をおすすめします。
試着できるショップを探して選ぶことが大事です。同じメーカーでもシリーズや年式が違うだけで微妙にフィット感も変わります。
ネット最安値で購入するのは、サイズ感が確定してからで十分です。
最初はダイヤル式(Fizik R5 オーバーカーブ)を選んだ
最初に購入したのはBOAダイヤル式モデル(Fizik R5 オーバーカーブ)です。
ダイヤルを回すだけで締め付け調整ができ、着脱が手軽な点が魅力でした。
実際、走りながらでも手軽に調整できるので使い勝手は良好です。
またダイヤルを閉める時の「カチカチカチ」という音が気持ちよくテンションも上がりました。

しばらく使っていましたが、引き足の練習を本格的にし始めてからソール部分が破損してしまいました。
週末ライドのみの使用とはいえ、約5年ほど持ってくれたので耐久性としては文句なしでした。
パワーストラップ式(R5 パワーストラップ)に変えた理由
次に選んだのがFizik R5 パワーストラップです。

実は試着の段階でパワーストラップ式の方がフィット感が良いと感じていました。
マジックテープ素材のストラップで足全体を均一に固定する感覚が、ダイヤル式より自分の足に合っていました。
ただ1点、あのダイヤルの「カチカチ」という音、そして締まっていく感じが当時の私には刺さりました。
「よりテンションの上がる方」ということで、最初はダイヤル式にしました。
ダイヤル式は「点で締める」感覚、パワーストラップ式は「面で固定する」感覚です。
長時間走行でもズレにくく、シンプルな構造なので耐久性も高い。ダイヤルが壊れたことを機に、より気に入っていたパワーストラップ式に切り替えました。
結果的には最初からパワーストラップ式にしておけばよかった、というのが正直な感想です。
シューズ選びのポイントまとめ
- 試着は必須。サイズ感はブランドによって大きく異なる
- 横幅も必ず確認する。ロードシューズはナロータイプが多い
- 実際にクリートをはめる動作を試せるショップで選ぶとより安心
- パワーストラップ式はシンプルで耐久性・フィット感ともに優秀
おすすめペダル・シューズ
実際に使って良かったペダル・シューズを紹介します。
①ミカシマ(MKS)US-L|通勤ビンディング入門の最初の一本
通勤でビンディングを始める人に、まず試してほしいペダルです。
分割式ビンディングペダルという外しやすい構造、良好な回転。
どちらも初心者だった私には嬉しい要素でした。
異音が出るまで1年以上問題なく使え、立ちゴケへの恐怖を克服する時間を与えてくれました。
「本格的なビンディングペダルに乗り換える前の準備期間」に使うペダルとして、非常に優秀です。

②LOOK KEO 3 CLASSIC|慣れた後のステップアップに
ビンディングに慣れたあとのステップアップとしておすすめのペダルです。
LOOKはビンディングペダルの老舗ブランドで、KEO CLASSIC 3はその入門モデルに位置します。
セール時に購入しましたが、コスパは非常に高いと感じました。
クリートの固定感がしっかりしていながら、シマノペダルよりも外しやすく膝に優しい設計と感じました。
現在も通勤・趣味ライドどちらでも使用中で、富士ヒルの試走でも活躍しています。

③Fizik R5 パワーストラップ|フィット感と耐久性を両立
シューズは試着して合うものを選ぶのが大原則ですが、Fizikは日本人の足形に合いやすいブランドのひとつです。
パワーストラップ式は面で固定するため、長時間走行でもズレにくく快適です。
ダイヤル式と迷ったら、耐久性と安心感の面でパワーストラップ式をおすすめします。

参考:Fizik R5 オーバーカーブ(ダイヤル式)
ダイヤル式の手軽な着脱感を試してみたい方はこちら。
走りながらでも調整しやすく、入門として試しやすいモデルです。
フィット感はパワーストラップ式に劣る点は注意してください。
まとめ
ロードバイク通勤でのビンディングペダルについて、私の実体験をまとめます。
- ビンディングは通勤に「必須」ではない。フラットでも快適に通勤できる
- 立ちゴケと膝痛で一度やめたが、分割式ビンディングペダルで安全に再挑戦できた
- ミカシマUS-Lの分割式は、通勤ビンディング入門として最適な選択肢
- 慣れたらLOOK KEOなど本格的なペダルへのステップアップ
- シューズは試着が全て。ブランドより自分の足形に合うものを選ぶ
- ダイヤル式よりパワーストラップ式の方がフィット感は優秀だった
- 安全に始める3原則:分割式ビンディングペダルから、革靴は職場に、ペダルから早めに外す
ビンディングペダルは怖いものではありません。
始め方と選ぶペダルさえ間違えなければ、通勤ライダーでも十分に使いこなせます。
まず分割式ビンディングペダルから試してみてください。



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