山梨県のほったらかし温泉をスタート地点として、標高2,365mの大弛峠まで、友人と2人で登ってきました。
大弛峠は自動車で行ける峠道の中では『日本最高公道』として知られています。場所は山梨と長野県の境にあり、登山にも人気で、有名なスポットです。
今回のライドで記憶に残ったのは、サイコン気温40℃を超える日差しの中で登ったぶどう畑区間、他の山とは違う静かすぎる森、そしてラストの達成感でした。
この記事では、これから大弛峠を走る方に向けて、どんな場所か・注意しておきたいこと・実際にあった失敗談・持っていくと安心なものをまとめます。
- 大弛峠がどんな場所か(前半はカンカン照り、後半は静かな森)
- 走る上での注意点(路面・タイヤの空気圧・最後のコンビニ・下りにかかる時間)
- 服装・補給で実際にあった失敗談
- これから走る人へのアドバイス(持っていくと安心なもの)
- 道を間違えた話
この記事は約 10分 で読めます。
大弛峠とは|標高2,365m、車で行ける峠として国内最高公道
大弛峠は、山梨県山梨市(旧牧丘町)と長野県川上村の境にある峠です。
現地の看板には「大弛峠 2,365m」と表記されていました。

大弛峠は例年、冬季は通行止めになります。※目安は山梨県側で11月下旬〜5月末頃、長野県側で11月中旬〜6月上旬頃です。年度によって前後するので、走る前に必ず最新の通行状況を確認してください。
コースデータ

| 区間 | 距離 | 獲得標高 |
|---|---|---|
| 全体(ほったらかし温泉スタート〜帰着まで) | 84.4km | 2,536m |
| ヒルクライム区間 | 34.1km | 2,003m(標高508m→2,292m、平均勾配5.9%) |
ヒルクライム区間の実走タイムは2時間56分でした。
平均パワー158W・平均心拍155bpm・最大心拍189bpmという内容です。
どんな場所か|前半はカンカン照り、後半は静かな森
大弛峠の大半は、林道のように森の中を通るコースです。
森に入ってしまえば、真夏でもそこまで暑くありません。
問題は、林道に入るまでの最初の12〜13kmが、日陰のないカンカン照りだということです。
サイコンの温度表示はこのエリアで42℃を記録しました。

林道に入る手前のぶどう畑ゾーンは斜度5〜10%と斜度も上がってくるタイミングで、正直、今回のライドの中で一番きつい区間はここでした。
標高2,000m超の高所よりも、この暑い前半の方がつらかったです。
全体を通して交通量はかなり少なく、すれ違いに気を遣う場面もほとんどありませんでした。
登坂ルートの8〜9割は、車を気にせず走れます。
注意が必要なのは中盤〜山頂付近で、何ヶ所か道幅が車1台分程度まで狭くなる箇所もあります。
走る上での注意点|路面・タイヤ・下りの時間配分
路面は、ところどころ苔が生えていたり、グレーチングやガレた箇所、段差があります。
特にダウンヒルは要注意です。チューブ運用の方は、替えチューブが必須と思えるほど段差が気になりました。

私はチューブレス・28Cタイヤで、60psi(4bar前後)で走りました。
振り返ると、もう少し低めの40〜45psi(3bar前後)くらいの方が快適だったと思います。
補給ポイントについても注意が必要です。
大弛峠までの道の途中、ラストコンビニはファミリーマート 塩山小屋敷店になりそうです。
そこから先、クリスタルラインに入ってしまうと、コンビニはありません。
ここで水分や羊羹などの補給食を十分に買っておくことをおすすめします。
途中の琴川ダム周辺には山荘やカフェもありますが、ヒルクライムの行程としては前半なので、休憩する方は少ないと思います。
ただし、ここには自動販売機があったのでこの時点で半分程度飲み物を飲んでいる場合はきちんと買っておきましょう。

山頂には大弛小屋があり、水を汲んだり、食事でカロリー補給したりできます。
時間と心に余裕があれば、ここでしっかり休憩・補給しておく方が安全です(私たちは天候が心配で見送りましたが、後述するように反省点になりました)。

下りは、他の峠よりも時間がかかると思っておいた方が安全です。
道幅が車1台分ちょっとしかない上に見通しが悪いところもあり、スピードを出すのは危険です。
段差も多く、スピードを出して突っ込むと落車の危険もあります。
いつもの倍くらい下りに時間がかかると思ってタイムテーブルを組むと、焦らずに済むと思います。
麓と山頂の寒暖差との戦い|服装で唯一失敗したのはグローブ
大弛峠は、麓と山頂の気温差が大きい峠です。
事前に山頂の気温が16℃前後・雨の可能性があるという情報を掴んでいたので、服装は長袖インナー・ビブタイツ・レインジャケットを選びました。

結果として、レインジャケットでギリギリでした。
可能なら、もう1枚防寒具を持っていく方が安心です。
唯一の失敗はグローブでした。
夏用の指切りグローブで挑みましたが、山頂付近では手が冷えてしまい、秋用のロングフィンガータイプの方が正解だったと感じています。
次に走るときは、冬装備で使っているロンググローブを持っていくつもりです。
登りは気温が高く、実は半袖の方が快適だったかもしれません。
ただし下りまで含めたトータルで考えると、長袖を選んで正解でした。
もし秋用ジャケットも持っていけるなら、登りは夏用ジャケット・下りは秋用ジャケットに着替えるという2段階の対策が理想的です。
季節別の装備は、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
補給の失敗談|下山後に襲ってきたカロリー切れ
朝ごはんはスタート前に、1,000kcalくらいしっかり摂りました。

赤飯おにぎり・とり五目おにぎり・羊羹・ポカリスエット・ファミチキという内容です。
登坂中は、スポーツドリンクと水をこまめに補給しつつ、中盤で友人にもらったMaurten(モルテン)のカフェインジェルを走りながら口にしました。
今まで食べた補給食の中では、ダントツに食べやすいジェルでした。
ういろうや寒天ゼリーに近い、少し硬めでつるっとした食感で、気に入ってライドから帰ってすぐAmazonで注文してしまいました。
山頂では、天候が崩れそうだったので、大弛小屋での食事は見送り、ダウンヒル前にアミノサウルスの補給ジェルだけ追加で摂って、早めの下山を選びました。
それでもカロリー不足を感じました。
特に大弛峠から下山したあと、ほったらかし温泉までの最後の3.5km・230mアップの登り返しでは、はっきりとカロリー切れを感じました。
振り返ると、羊羹換算で4つくらいは持っていくべきでした。
次からは、獲得標高2,500mを超えて、途中で昼食が取れなさそうな行程のときは、羊羹4つを目安に持っていこうと思います。
山頂の大弛小屋で予定通り休憩・補給できていれば、ここまでのカロリー不足にはならなかったはずです。天候が心配な状況でも、可能な範囲で休憩・補給はしておいた方が安全だと感じました。
駐車場・アクセス

輪行の場合は『塩山駅』が最も近いスタートポイントです。少し走るとすぐラストコンビニになります。
車で向かう場合もこのラストコンビニ周辺のパーキングをスタート地点にするとスムーズと思います。
私はほったらかし温泉をスタートとしたので、2000m以上の登坂のあとにさらにヒルクライムをもう一本行う羽目になりました…。
エピソード|まさかの道を間違い
ヒルクライム本番は金櫻神社の鳥居あたりからスタートになります。
そこから5〜6km進んだあたりに分岐がありますが、正しいルートは右側です。

直進側は見るからに細い林道なので、通常はまず間違えないと思います。
ただ私は事前にGoogleマップのルート表示で直進できそうに見えたため、そのまま直進してしまいました。
そしてここから2km先の地点まで登ったところで、道の先が通行止めになっていて行き止まりになり、そのまま引き返しました。

なお、この道は2km程度の短い登坂でしたが、全区間ほぼ10%超え、しかも道幅も狭いというなかなかパンチの効いた道でした。

とはいえ、非日常感も味わえるので足に余裕のある方は行ってみても面白いかもしれません。

大弛峠は、斜度が緩む区間や、森の切れ目から絶景が見えるポイントもあり、コースプロフィールから想像していたよりもずっと登りやすい峠でした。
今回はトレーニングやタイムアタックが目的ではなかったこともあって、道に迷った時間も含めて楽しんで走ることができました。

唯一の心残りは、山頂の天候が悪く、景色が見られなかったことです。

山頂でたまたま居合わせた別のライダーに、大弛小屋の水場のことや、山頂から徒歩15分ほどのところに眺望の良いスポットがあることを教えてもらいました。
次回は天気の良い日に、履き替え用の靴を持って、そこまで歩いてみたいと思っています。
すれ違うバイクの方から応援の声をかけてもらう場面も何度かあり、道中を通して励まされるライドでした。
これから走る人へのアドバイス|小さいリュックがあると安心
大弛峠を安全に、より楽しく走るなら、10L以下の小さいリュックを1つ持っておくのがおすすめです。
ジャージのポケットだけでは、次のものが入りきりません。
- 補給食(羊羹などを多めに)
- 下り用の防寒グローブ・ウインドブレーカー
- 替え靴(山頂から徒歩15分の展望スポットまで歩きたい人向け)
私は今回、雨が降りそうな空模様だったのと、替え靴を持っていなかったことで、展望スポットまで歩くのをあきらめました。
景色を楽しみたい方は、ぜひ替え靴を持っていってください。
よくある質問
初心者でも走れますか?
完全初心者は難しいですが、ある程度走ったことがある人なら十分可能です。
ヒルクライム区間だけで獲得標高2,003mの本格的なコースです。
とはいえ、上級者でないと登れないかと言われると決してそんなことはありません。
ヒルクライム開始地点(鳥居のあたり)から16~17kmくらいで中盤の斜度が緩む区間に入ります。そしてほぼ平坦の区間が3〜4km続くため、脚を休めたり、水分補給しながら休憩できます。
とはいえ短い距離ではないので、長距離のヒルクライム経験を積んでから挑戦するのがおすすめです。
逆に言ってしまえばこのくらいの距離を登れる方であれば足つきなしで登り切ることが十分に可能です。
最後の補給ポイントはどこですか?
ファミリーマート 塩山小屋敷店がラストコンビニになりそうです。
そこから先はコンビニがないので、ここで十分に水分・補給食を買っておくことをおすすめします。
タイヤは何がいいですか?
路面に段差や荒れた箇所があるので、太めのタイヤ・低めの空気圧がおすすめです。
私は28C、60PSI(4Bar)前後で行きました。
チューブ運用の方は、替えチューブを必ず持っていってください。
下りはどのくらい時間がかかりますか?
道幅が狭く段差もあるので、普段の峠よりも倍くらい時間がかかると思っておくと安心です。
私は1時間45分程度かかりました。
服装の目安は?
山頂の気温が低いことが多いので、長袖インナー・レインジャケットに加えて、秋用のロングフィンガータイプを持っていくと安心です。
麓と比べると10℃以上差があり、そこに加えてダウンヒルでの風でより寒く感じます。
高山病は心配ないですか?
一般的には標高2,000m前後から高山病の症状が出やすくなるとされています(個人差が大きく、頭痛やめまい・倦怠感などが代表的な症状です)。
私の場合、標高による体調不良は感じませんでした。
ただしこれはあくまで私一人の体験で、症状の出方には個人差があるので、体調に不安がある方は無理せずペースを落としてください。※高山病についてより詳しくは、山岳医療救助機構などの解説もあわせてご確認ください。
近くのおすすめの温泉は?
ほったらかし温泉がおすすめです!

市街を一望できるロケーションは最高です。

名物の『揚げ温玉』は疲れた体に染み入ります。

まとめ
大弛峠は、標高2,365mという数字だけ見ると身構えてしまいますが、実際に走ってみると、静かな森や斜度が緩む区間もあり、想像以上に楽しめる峠でした。
一番きつかったのは高所ではなく、麓のカンカン照りのぶどう畑区間だったこと、そして下山後のカロリー切れでした。
これから走る方は、ラストコンビニでの補給・替えチューブ・下りの時間配分の3点を意識するだけで、だいぶ安全に楽しめると思います。
次回は晴れた日に、替え靴を持って、山頂から徒歩15分の展望スポットまで歩いてみたいと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
【おまけ】パワー・心拍データが気になる方へ
斜度がほぼ同じ、登坂区間の序盤8kmと終盤8kmを比べたところ、次のような結果でした。
| 登坂区間 | NP | 平均心拍 |
|---|---|---|
| 序盤8km(勾配6.8%) | 180W | 135bpm |
| 終盤8km(勾配6.9%) | 181W | 173bpm |
パワーはほとんど変わらなかったのに、平均心拍は135bpmから173bpmまで38bpmも上昇していました。
標高のせいなのか、2時間以上走り続けた疲労のせいなのか、正直に言うと今回のデータだけでは完全には切り分けられませんでした。
終盤は天候の悪化が心配で意識的に強度を上げた区間でもあるので、その影響も含まれているはずです。
今回比較した富士山周辺のヒルクライムの実走レポートは、こちらもあわせてどうぞ。




コメント